mako

月のmakoのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.9
《心があるか、ないか》
◎79点

実際の障害者殺傷事件を題材に、2017年に発表された辺見庸の小説「月」が原作。
原作未読。
監督・脚本: 石井裕也。


深い森の奥にある重度障害者施設。静かな環境だが、隔離された感もある。
その施設で働くことになった堂島洋子(宮沢りえ)は、元・有名作家。
夫の昌平(オダギリジョー)とふたりで慎ましく暮らしている。
施設職員の同僚には作家を目指す陽子(二階堂ふみ)や、絵の好きな青年さとくん(磯村勇斗)らがいた。

障害者施設殺傷事件を通して、そこに至るまでの経緯や洋子と昌平夫婦の再生を描いていた。

内容は重めで、映像も暗め。
特に施設は暗いシーンが多かった。
そこでいろんな事が起こっていた。
世話をする職員たちの仕事は大変で頭が下がりました。
精神的にも肉体的にもハードな仕事だと思いました。

重度障害者施設ということで、動けない方や会話等できずベッドに寝たきりの方達も。
でもその方達も生きている。
意思の疎通ができなくてもちゃんと生きている。

劇中、「心があるか、ないか」という台詞が印象的だった。
心があるとは、どういうことを指すのだろうかと考えた。
意思の疎通ができれば心があるという事だろうか?
意思の疎通ができなくても心はあると思う。
心があっても伝える術がないだけじゃないかな。
意思の疎通があっても心がない人もいる。
例えば虐めや暴言暴力を振るう人は心があると言えるの?
相手が自分より弱者とみれば上から目線で接する人、観ていて嫌な気持ちになった。


心があるかないか、一個人の考えで決めていいはずがない。

考えさせられる映画でした。

さとくんを演じた磯村勇斗さん、日本アカデミー賞で最優秀助演男優賞受賞おめでとうございます✨
素晴らしい演技だったので私も受賞してほしいと思っていました😊

本作を観る時は体調がいい時に観た方がいいかも。

ちょっと感じた事。
洋子さん、あの状況でよくこの施設に勤めようと思ったな😅
辛すぎないか心配になりました。




観客 1階席 ?、2階席 6人
劇場鑑賞数 #128
2023鑑賞数 #142
mako

mako