ビターチョコ

ゼイリブのビターチョコのレビュー・感想・評価

ゼイリブ(1988年製作の映画)
5.0
誰にでも特別な映画があるだろう。
この映画が私にとっての特別な映画だ!

あらすじ
アメリカの都市に肉体労働者ふうのおっさんが流れてきた。働きたいが仕事がない。探してもなかったが、やっと見つけて寝床も見つけ、くつろぐ男。だが、そのコミューンには電波ジャックがあり、おかしな教会もあった。警察の手入れがあり、男は教会に隠れて難を逃れたが、その日から男の価値観が一変したのだった……

生きてりゃ価値感が「ガラリ」と変わることが何度もあるものだ。この映画は、ほとんどの人にとって「それなりに面白いB級ホラー映画だね」って感想かもしれない。

だが私にとってはとても凄い映画だった。

誰が観ても判りやすい、本当に単純な映画。有名な俳優が出るわけでなく、派手なアクションシーンがあるわけでもない(すごく長尺の「アレ」がある!)。

しかし私にとっては、一番凄い映画だ。音楽も良い。カーペンター監督は本当に反骨精神あふれた監督だ。本当に何度も観たい映画だ。

主人公のネイダには過去の情報がない。家族や故郷、経歴が全く判らない。だが何となく判る、判る気がするから問題ない。

ネイダが都市に来て、ネイダが動いた数日後に(地球人類の)価値観が大きく変わる。だがネイダの功績(?)は誰も知らない。だから悲しい。悲しいが美しい。だから大好きな映画。そういえば今年(2019年)は一度も観ていない。

【追記 2022年1月11日】
この映画には長尺の格闘シーンがある。派手じゃないが中身があるシーンだ。「長い」と思うか、「もっと観たい」と思うかで、その人の価値観が判るような気がするのだ。
他人の価値観を変えるのはとても難しい。
「無理だ」と断言する人は多いと思う。
だが、男と男は体と体をぶつけ合って、そして真実を掴み取るのだ。そのためには相手がいるのだ。長い時間がいるのだ。