Kto

パフォーマンスのKtoのレビュー・感想・評価

パフォーマンス(1970年製作の映画)
3.3
【ひとこと説明】
当時の批評としては最低に近い評価だったけど、同時代の退廃的なセックス・ドラッグ・音楽の空気感を色濃く残しており、カルト映画として後世で再評価されている珍作

【感想】
クリストファーノーランが、この映画に出てくるギャングの一人がボルヘスの「伝奇集」を読んでいることに気づいてから、ボルヘスの作品を読み漁った時期があった、という話を聞いて鑑賞。

特にカルト的人気を博す、サイケデリックな要素(堕落したロックスター、2人の女性との奔放な性生活、ドラッグによるトリップ状態)が炸裂する後半までは話がよく掴めず非常に退屈だった。ただ、異なる時系列がバシバシとクロスカッティング風に繋がれたり、正直話の根幹には全く影響しないような存在意義不明な細部にまで異様に拘る感じは、全体的にアヴァンギャルドでカッコよかった。ファスビンダーの「第三世代」とかゴダールの「中国女」みたいな、意味がよくわからないんだけど、見入ってしまう感じ。

ターナー(ミックジャガー)の登場から、徐々にサイケデリックな映像が始まる。スモーキーでアングラな空気に満ち溢れた、気だるい映像。終始緩慢なテンポで退屈ではあるものの、「イージーライダー」や「ロッキーホラーショー」、「ヘドウィグアンドアングリーリンチ」など数々のサイケデリックなアート系カルト映画の系譜に名を連ねるのに相応しい映画だった。
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