舞台は東西冷戦後。ロシアの政治的混乱から発展してしまう核攻撃の危機に対抗すべく、弾道ミサイル潜水艦「アラバマ」に乗り込むことになるアメリカ海兵たち、その任務の最中艦内で巻き起こる一触即発の事態を描く。
新たに副艦長に任命される、言うなれば慎重派のハンター少佐、演じるのはデンゼル・ワシントン。潜水艦アラバマの艦長であり、人望もありつつわりと豪快な性格にも見えるラムジー大佐、演じるのはジーン・ハックマン。核兵器を搭載した潜水艦内という閉鎖された空間、限られた通信手段、そんな状況で起こってしまうのが“上に立つ者”同士の衝突。これまでの経験やら何やらから来てるであろう双方の決断力、考え方の違いなど、ちょいちょい見え隠れしていたものが土壇場で完全に相容れなくなってしまう。それぞれの判断は果たして吉と出るか凶と出るか、という。海中での魚雷やソナーなどを用いた他国との心理戦や、その中で出てきてしまう事故や犠牲といった人間ドラマなんかはマジで手に汗握る展開。で後半から艦内の状況は更に悪化、本来の任務とは別で人間模様も更に色濃く描かれていく、その白熱具合にきっと見入ってしまうはず。
冷戦後の時代ということで、当時の潜水艦の性能やら、乗組員の技術面やら、あと世界情勢とかも、ストーリーにはある種のリアリティーがあるんじゃないかなどうかな。個人的には出来事や人物のやり取りにめちゃくちゃハラハラドキドキ、で愛国心や人としての尊厳がそれぞれの根本にあるが故に時に熱く、また時に歯痒い気持ちにもなったり。終盤あたりの言葉の数々がまた心に余韻を残す。何が正しくて何が誤りか、判断が難しいことってあると思うんだけど、なんやかんやで最後は「人を信じる」方向にいきたいよねっと。そんで監督トニー・スコット、主演デンゼル・ワシントンのタッグによる作品はやっぱり良き、好き。キャストの演技にも魅了されること請け合いの一本。
