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ドラえもん のび太と鉄人兵団のmichikoのレビュー・感想・評価

3.0
ドラえもん映画シリーズ7作目。
原作の単行本も持っていた為、個人的に思い入れのある作品。

楽園を作ろうとしたロボットが支配階級という人間と同じ過ちを繰り返すSF、その支配階級からの自由を求めたロボットが人間の奴隷化を提言するという愚かさ、人間の優しさに触れたロボットが故郷への愛との間で悩み揺れ動く心情、と中々に重い内容が描かれる。そして巨大ビルを破壊してしまい人がいないながらもショックで取り乱したり、助けたロボットに首を絞められ殺されかけたりと、しずかちゃんにとってもヘヴィな展開が続く。原作でも特徴的に描かれるダークでシリアスな内容はアニメでも同様に描かれる。ただ、原作のデザインの持ち味である緊張感のあるシリアスさは中々アニメでは表現しきれていない。

リメイク作である『〜はばたけ 天使たち〜』もあるがかなり現代風に明るく描かれており、ロボットのリルルのいかにもロボットな不気味さ残酷さは本作の方が表現できていて好きである。

現実の鏡面世界という全くの別世界でもない舞台、ロボットの侵略という地球の危機であるが現実世界には全く影響していないというちょうど良い塩梅。そして過去改変にてロボット兵団達がどの様に変わったのかは明確に描かれず、我々の想像に託される未来という実に旨い締め。昨今のドラえもん作品が超えられない異様なハイレベルのSFがそこにはある。
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