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ボーンズ アンド オールのmichikoのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
3.0
快楽では無い衝動の何か。カニバリズムを快楽としてでは無く描いた作品は初めて観たかもしれない。それは『寄生獣』の食人ともまた違う。そこに愛はない。我々も食する牛や豚に愛は無い。恐らくそれは性行為に近いもの。食欲、睡眠欲、性欲の様に我々に備わった必要欲であり、必要以上に楽しむ為の快楽では無い。愛と快楽は違う。それは本作内にて同族では無い食人者を登場させたことでも示されている。愛だからこそ人によって捉え方も異なり、人によっては愛によって狂わされる。いわば食人はキスの様なもので、フルボーンズはセックスなのだろうか。それともその先のまだ見ぬ何かなのか。

そんな愛に最も敏感になる10代。そこにはLGBTQ等にて悩まされる若い彼らが重ねられる。自分を隠して生きるのか、それとも閉じこもるのか、あるいは。偏見と抑圧のこの世界で生きる我々がこの作品から何を学ぶかは、それもまた人によって異なるだろう。
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