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ロッキー・ザ・ファイナルのシネラーのレビュー・感想・評価

ロッキー・ザ・ファイナル(2006年製作の映画)
4.5
シリーズ第6作にして、
真の完結編となる本作を再鑑賞。
その哀愁が漂いながらも
不変な心を持ち続けるロッキーに
涙する最高の完結編だ。

長い年月が経ち、
愛するエイドリアンに先立たれて
レストランを経営するロッキーが、
現ベビー級チャンピオンのディクソン
からのエキシビションマッチを受け、
年老いた身体を再び奮い立たせていく
内容となっているが、
正に挑戦し続けるロッキーが格好良かった。
エイドリアンの墓参りと
思い出の地を巡るロッキーには、
年月が経った事での喪失が感じられ、
一気にロッキーに感情移入してしまう
序盤の導入だと思った。
しかしながら、時代が進んで身体が
衰えても心は不変なロッキーであり、
第1作『ロッキー』のように
周囲が嘲笑う状況下でも
自身のやりたい事に突き進み、
過去を振り切って今を生きようとする
ロッキーには憧れしかなかった。
本作はロッキーがリング外でも
感情的に熱弁する場面が幾つかあるが、
その中でも息子であるロッキーJr.との
名場面は涙せずにいられなかった。
困難にぶち当たっても突き進んで
自分の弱さを他人のせいにするなと、
息子への人生の温かいエールとして
素晴らしい場面だと思った。
試合に関しては、
前作から16年経過している事もあって
現在のボクシングの試合を観るような
臨場感や現実味もあって良かった。
その上で、
威風堂々とリングから去るロッキーは、
勝負に打ち勝った清々しさがあって
惚れ惚れする幕切れだった。

第1作からのオマージュ要素も強く、
第1作で僅かに登場した
不良少女だったマリーや
ボクサーのスパイダーが再登場し、
共にロッキーに支えられながら
ロッキーを支える役回りとなっている
のが良かった。
加えて、
相変わらず口が悪いポーリーだが、
自分が良い兄貴ではなかっただけに、
エイドリアンとの思い出が辛いと
ロッキーに告げる場面が印象的だった。
シリーズ恒例のトレーニングでは、
精肉工場での肉のサンドバッグに
生卵を飲み込むのが、
変わらないロッキーらしさに溢れている
ようにも思えて嬉しかった。
エンドロールでロッキー・ステップを登って
両手を掲げる市民の映像が流れるが、
そこがまた涙腺を刺激される
良いエンディングだと思った。

原題『Rocky Balboa』という題名に
相応しい内容と完結編であり、
ロッキーは永遠に憧れの漢だと思った。
人生の中での重たいパンチを恐れず、
自分自身の価値を信じて進み続ける
大切さを噛み締める傑作だ。
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