Melko

緑の光線のMelkoのレビュー・感想・評価

緑の光線(1986年製作の映画)
3.4
「ジャン・ピエールとは終わりよ。前に進むか、思い出に生きるかよ」

「私は頑固じゃないわ。人生が私に譲らないのよ」

おい何だこの女、めんどくせ〜〜!!
………あら、でも待って。
これはバーナム効果?私もデルフィーヌみたいになりかねないわ。

一見すると、
いつも不機嫌そう、ああ言えばこう言う、何かを提案しても文句ばかり、心ここにあらず、ともすれば自分語り、何かにつけてすぐ泣くスーパー情緒不安定
ダメなところしかないような主人公デルフィーヌ

ああ男に飢えてるのかな、いつも自分にスポットライト当たってないとダメ系の女なの?こんな友達いたなー
と思ってたけど。

そうじゃなくて、デルフィーヌは典型的な「恋した相手に尽くす」タイプ?
多分だけど、所謂「愛が重い」系女子なのかな
何があって元彼と別れたのか知らないけど、別れて数ヶ月するのにまだ引きずってて、フラットに電話までかけちゃう。。
交際=真剣
なド真面目なタイプなんだな。
一夜限りの恋もやってみたけど虚しいだけ。心の繋がりが欲しいタイプ。

出会いを探そうと色々やってみるけど、どれもパッとしないし、見かねた友人達が避暑地や家族の家に誘ってくれたりするけど、そこにもどうもうまく馴染めない。
きっと、口数も多いし本来は陽気な性格なんだろうから、上手くできたはずなんだけど、孤独感と情けなさが頭を支配して、強がった結果、自分から人を遠ざけてしまう。寂しさが募るだけなのにねぇ。

バカンスに1人だって良いじゃない…
いや、、私が思うに、バカンスに誰かと一緒じゃない「情けなさ」は、元々そんなには感じてなかったはず。
バカンスなのに予定がない、恋人もいない=恋人を作らなきゃ!=それには出会い!
と誘導する友人達とそもそも合ってないんだと思うんだが。そんなん、悲しく惨めになるだけよ…デルフィーヌはそんなアドバイスや言葉が欲しかったんじゃないと思うんだなぁ、、
まぁ結果的にその友人達からの「出会いが欲しいなら、ジッとしてないで自分から行動しろ」の辛口アドバイスが、終盤のデルフィーヌの一歩踏み出した行動と、ホッコリなラストに繋がるわけだけど。。だから、、まぁ、良いのか。笑

途中で出会ったスウェーデン人のレナは、男の前ですぐに本心は見せない、好き勝手な自分を演じて反応を見る、ゲームをする
と言ってた
デルフィーヌみたいな女には逆立ちしてもそれは真似できないと思うし、やらなくて良いと思う。ロマンスの相手になるかもしれない男の前で「私は男を信じないの。みんな寝ることが目的だから、断ってる」ってぶちかましちゃう、天然物の本音こそ、言いたくても言えない女が多いと思うから。
ヤケクソになっても信念は変えない
それは、頑固なんじゃなくて、キチンと生きてるってことだと思うな。

と、自分にも言い聞かす

疎外感な共感性羞恥もなかなかだったけど、あるあるだから一気に見ちゃった
女性にキチンと丁寧に向き合って描いてる気がした
ロメール奥が深いかも
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