TS

トレーニング デイのTSのレビュー・感想・評価

トレーニング デイ(2001年製作の映画)
3.8
【麻薬捜査の実態】80点
ーーーーーーーーーーーーーー
監督:アントワーン・フークア
製作国:アメリカ
ジャンル:クライム
収録時間:122分
ーーーーーーーーーーーーーー
デンゼル・ワシントンの怪演が見られるクライム映画の名作。若きイーサン・ホーク演じるジェイク刑事は麻薬捜査官になるために、その道のベテラン刑事であるアロンゾ刑事の部下につきます。ここまではよくあるバディムービーでありますがここからが決定的に違います。普通こういう設定であれば、危険なミッションを乗り越えて互いの絆が深まるものであります。が、今作はその全く真逆を行きます。と同時に麻薬捜査の実態が浮き彫りになってくる、最近の邦画では『日本で一番悪い奴ら』が示していましたが、捜査官も時には悪にならないといけないというものを読み取れました。ここまでくると最早正義が何なのかわからなくなってきます。

アロンゾはベテランでありながらも、極悪人であれば平気で殺しても良いという思想を持っています。ただし、それを理由として本部に文書を提出できるはずもないので、あくまで「正当防衛」の一環として殺しを行なったとするのです。なので、殺したあと、あたかも反撃にあったかのような芝居をするのが強烈に印象に残りました。それに不快感や不満を覚えるジェイク。アロンゾは当初はジェイクをコントロールできるかと思っていたのでしょうが、思想、価値観の相違により徐々に対立していきます。

弟子が師匠を見習わないといけないという構造は所詮理想であり、現実はもっと凄惨なものである。下克上にも似た反撃が世界の様々な場所で繰り広げられているのでしょう。そして正義を掌る連中に権力をもたせたらろくなことにはならない。人間というのは実に利己的な生き物であります。アクションムービーとしても見応えはあるので、中々のオススメです。
TS

TS