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二十才の微熱 A TOUCH OF FEVERのRiNのレビュー・感想・評価

二十才の微熱 A TOUCH OF FEVER(1993年製作の映画)
3.2
考えてみれば、二十歳って不思議な年齢です。通り過ぎてみると、なんだかきらきらした夢のようでもあり、十代からしてみれば大人の入り口のように見えていた気がしました。しかし、実際のところはまるでトンネルの中のように前も後ろも見えず、未来の見えない不安と足元の不確かさに、また鬱屈したあらゆる欲望や感情との矛盾に、日々ざわざわとした心を抱えて、あまりにもぱっとしませんでした。まさにそんな年代真っ只中の、諦観した男娼の大学生・樹と、そんな彼を慕う高校生・信を中心に展開される群像劇。

「人生自動販売機だとでも思ってんじゃないの?」
「付き合ってる人で人格決められちゃうとこあるじゃない?」
「早く明日の空気吸いたいなあ」
「人のことわかってどうすんの、わかってもらってどうすんの」
橋口監督らしい、ちくりと胸を刺すセリフや、リアルすぎて滑稽ですらあるシーンの連続に、稚拙ではっきりしないストーリー展開ながら、捨て置けない個性を感じました。
吐いちゃうくらい頑張ったのにね。
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