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グッバイ、サマーのRiNのレビュー・感想・評価

グッバイ、サマー(2015年製作の映画)
3.4
『親友の話』

友達になりましょうって、あまり口に出して使う言葉じゃない。気付いたら一緒にいる時間が増えて、気付いたらなんでもないLINEをやり取りしていて、気付いたら当たり前に心配したりしている。
じゃあ親友はどこからって話だけど、これはもっと曖昧だ。時間しか答えはない気がする。何年かあとになって振り向いて、ああこのひとは自分にとってかけがえのない存在なんだって気付くもののような気がする。

でもこれは、大人同士の感覚だ。子どもの頃はどうだっただろう、映画は回想の導き手になることがよくある。
長い時間を共に過ごしたわけでもないのに、特別になる相手がいた。頭が良くて、すらりとした手足の、横顔の大人びた子だった。その感覚はそうそう味わえるものでもなくて、強引な言い方をすれば熱烈な片思いに近い。
子どもの頃の友情には疑似恋愛に似たようなものがよくあるそうだ。お互いにはお互いしかいなくて、他の子と遊んでいるのを見るだけで裏切られたような気分になったり、近くから去ってしまうと聞いただけで涙が出るような友情。ずいぶん昔の、そんな感覚を思い出すひと夏の映画でした。
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