Natsuクルーズ

チーム・バチスタの栄光のNatsuクルーズのネタバレレビュー・内容・結末

チーム・バチスタの栄光(2008年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「犯行現場は、半径10cm。」




海堂尊の長編小説でありデビュー作の映画化で、田口・白鳥コンビの「東城大学シリーズ」第一弾。

原作は第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞。

心臓移植の代替医療であるバチスタ手術を専門に行うチームの奇跡と栄光から崩壊。

成功率100%だったチーム・バチスタが、3例立て続けに謎の術中死に遭遇する。

その原因究明のため《不定愁訴外来(別名・愚痴外来)』の責任者と、ロジカルモンスターと呼ばれる厚生労働省の役人が、ワトソンとホームズの様に内部調査を始める。

執刀外科医、第一助手、第二助手、看護士、臨床工学技師、麻酔医、病理医で構成された《グロリアス・セブン(栄光の七人)》とも称されるチーム・バチスタの中に見え隠れするそれぞれの思惑と確執。

完成された7ピースのパズルに気を取られていると、その裏側にある心理と真理を見逃してしまう。

画像診断によって死因を検証するAi=オートプシー・イメージング=《死亡時画像病理診断》の重要性と日本の社会制度への導入を訴え続けている原作者の海堂尊。

このAiが作中でも事件解決のキーポイントであり、医療現場の過酷さが生む問題と共にストーリーの主軸にもなっている。

サスペンスでは不可欠な伏線の張り巡らせ方の巧さと、犯人候補であるチーム全員の《7通りのミスリード》に翻弄されながら迎えるクライマックスの真相。

あらゆるサプライズの連続に、ラストでは心臓が止まりそうになる。




「その問いかけはナンセンスだ。こいつはもう人間じゃない。」