柏エシディシ

浮き雲の柏エシディシのレビュー・感想・評価

浮き雲(1996年製作の映画)
4.0
名作。大好き。
ピアノシンガーの弾き語りのオープニングから、夫婦(&ワンちゃん)が空を揃って見上げるクロージングまで。完璧でしょ。
名門レストランの給仕長を務めるイロナと、路面電車の運転手ラウリ。仲睦まじく、仕事にも実直勤勉な2人だが、折からの不況の煽りを受け、各々失業してしまう。
なんとか職を見つけようと奮闘するが、世間は冷たく、やる事なす事上手くいかない。果たしてふたりは、この街で再び幸福を見出せるのだろうか……
社会の底辺で足掻く人々を独特の笑いと慈愛で活写してきたカウリスマキのひとつのキャリア到達点にて結晶。
そんな大仰の言い方が似合わないぐらい、特別なことは起きない静かな作劇。
……なのに、すごく面白い!
なにも特別な事は映っていないのに、なんとも豊かな画面づくり。
言葉少なに、それでも多くのことを語りかけてくる人物たちの佇まいと表情。
映画だよ。これが。

ユーロスペース、平日昼間なのに特段混んでました。めちゃ人気あるのが判る。
なん度も観たくなる一本。
柏エシディシ

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