けーな

ブライトスター いちばん美しい恋の詩のけーなのレビュー・感想・評価

3.4
25歳で結核にかかって夭折した19世紀を代表するイギリスの詩人、ジョン・キーツの物語。実話ベース。  

ジョン・キーツを演じたベン・ウィショーが、はまり役。こういう弱々しい雰囲気が、よく似合う(←褒めてます)。

話自体は、緩慢で、ちょっとダラダラしちゃう感じで、そこまで惹きつけられないのだけれど、イギリスの田園風景がとても美しく、また、登場人物達が着ている当時の服装が、とても魅力的で、それらを観ることができただけでも、良かったと思う。 

階級や家柄が重んじられていた19世紀のイギリスで、名声も無く、無一文の詩人が、生きて行くことは容易ではなく、さらに、そのような人と結婚するということは、たとえ愛し合っていても、許されることではなかったという背景が、この映画には、あって、その辺のところが、今の時代からすると、理解しにくいので、彼らが、ただ、グダグダしているように感じてしまって、ストーリーに入り込めないのかもしれないなと思った。この映画を観る時には、その辺の時代背景を、頭の隅に置いておいた方がいいだろう。

キーツの恋人ファニーは、洋裁が得意で、自分でデザインした服を着ており、独自のプリーツやレースを襟にあしらった彼女の洋服が、とても素敵だった。

また、ファニーの家の前の、四季折々のお花畑のシーンが、圧巻だった。ジャケット写真も、それ。ちなみに、この青い花は、イングリッシュ・ブルーベルというお花。イギリスを代表する花だ。ブルーベルという名の通り、青い釣り鐘の形をした花で、春に一斉に咲くため、春を告げる花と言われているそう。イギリスで春と言えば、ブルーベルならしい。映画では、ブルーベル以外にも、他の季節に、水仙や、名前が分からない白い花が、一面に咲いているシーンが出てきた。そこをジョンとファニーが散歩したり、弟と妹が遊ぶシーンが、とても素敵だった。

赤毛の幼い妹トゥーツが、とっても可愛いくて。恋する姉の気持ちをどこまで理解しているのか分からないけど、あどけないながらも、姉に寄り添っていて、可愛いかった。弟役のトーマス・サングスターも、とても良かった。子供なのにきちんと正装していて、小さな紳士って感じで、微笑ましかった。

この映画で舞台となった(撮影は、別の場所)キーツが居候していた家は、ロンドンの北部のハムステッドにあり、今は、「キーツ・ハウス」と呼ばれ、一般公開されているそうだ。ロンドンに行った時には、訪ねてみたいな。
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