きゃんちょめ

十三人の刺客のきゃんちょめのレビュー・感想・評価

十三人の刺客(2010年製作の映画)
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以下の4つの場面は見逃せないなと思いました。

①まず、終盤で市村正親の生首を稲垣吾郎が蹴り飛ばすシーンが、序盤に出てきた蹴鞠のシーンの反復になっているところが気が利いているなと思いました。

②次に、伊勢谷友介が岸辺一徳のお尻を犯すシーンはこの映画のトゥーマッチさを端的に表していましたね。あれは鬼才と呼ばれることも多い三池崇史の「何を描くにせよ過剰である」という作家性が端的に強く出た場面だと思います。

③それから、冒頭で間宮図書が殿を諌めるために切腹するシーンで、介錯がいないためにとても痛そうでしたね。

④そして、茂手木桜子さんが演じた百姓一揆の首謀者の娘が、四肢をもがれ、性的玩具として使われたあとに、飽きられて大川端に投げ捨てられるという展開も、稲垣吾郎が演じた松平斉韶(なりつぐ)の凶悪性が、たとえ今とどれほど時代が違ったとしても許されるものではないということを明確に表現していて印象に残りました。

とにかく、総じて言えることとして、俳優陣の気迫が伝わってきて、衝撃的な映画でした。

どうやら、実際の歴史では、播磨国明石藩の7代目藩主、松平斉韶(なりつぐ)の息子である松平斉宣(なりこと)が参勤交代で尾張藩領を通過中、3歳の幼児が行列を横切ったので、松平斉宣(なりこと)の家臣たちはこの幼児を捕らえて宿泊先へ連行したという言い伝えがあるそうです。それで、村民たちは斉宣(なりこと)のところへ押し寄せてこの幼児の助命を乞うたが許されず、この幼児は処刑されたらしいです。それで、この幼児の処刑に激怒した尾張藩は、御三家筆頭の面子にかけて、今後は明石藩主の尾張領内通行を認めないと通告するに至ったとか。ただしここまでの話の真偽は不明とのこと。

そういうわけで、この話が本当かどうかはともかく、こういう噂話は残っているらしいですね。こういう話を聞くたびに、身分が固定されている江戸時代というのは怖いなと思わされます。噂話だとしてもその十分の一くらいは本当かもしれないわけですから。
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