りふこ

十三人の刺客のりふこのレビュー・感想・評価

十三人の刺客(2010年製作の映画)
4.5
2014/01/27鑑賞 (DVD)

シリアスよりのチャンバラ時代劇ということで、本来そこまで好みのタイプの映画ではないはずだったんですけど、すごくすごくよかったです……。

まずは稲垣吾郎さんの悪役、本当に素晴らしかったです。
「ジャニーズにしては」っていう枠を超えた記憶に残るいい悪役でした。
いやー、本当に悪いやつでしたね!
歩く武家社会の歪みみたいなやつでした。

松方弘樹さんや役所広司さん達の安定感も勿論良かったです。
素人中の素人ですけど、特に松方氏の殺陣の年季の入り方がまったく違うのはよくわかりました。

まあ、あの伊勢谷友介さん演じる山の民の存在はね、微妙な部分ですよね。
この作品評価しない人が、特にこのキャラのことを指摘しているのはよくわかります。
三池監督作品によくある「悪ふざけ」を擬人化したような存在ですし。
個人的には、「はずし」としてのあのキャラクターは嫌いじゃなかったんですけどね……。

チャンバラが楽しいのは当然なんですけど、時代設定が幕末まで秒読みに入っているくらいなので、ああ、もう武士って存在に無理が出てきてるんだなーっていうのが随所から感じられるのが良かったです。
おそらく随一の使い手であろう伊原剛志さん演ずる浪人が、最初はいかにもキレッキレの剣の業で敵を倒してたのに、終盤で半死半生の時には、なりふり構わず「大きな石」で敵を殴り殺してるんですよね。
この生々しさがすごく好きなところでした。
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