竜平

ミステリー・トレインの竜平のレビュー・感想・評価

ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)
4.1
テネシー州、メンフィスにやってくる旅人やワケあり人物たち、3つのエピソードをオムニバス形式で描く。ジム・ジャームッシュによるまったりヒューマンドラマ。

エルヴィスの出生地として知られる町「メンフィス」でのそれぞれのワンナイト。最初の日本人カップルのパートでは永瀬正敏と工藤夕貴が出演。アメリカ映画ながらしっかり日本語で演じられてるあたり、なんか新鮮。で二人とも、なんというか二人だけの、二人にしかわからないようなイチャイチャ空間を持った若々しいカップルを微笑ましく演じていて良き。他のエピソードではニコレッタ・ブラスキ、スティーヴ・ブシェミなどが出演。どれもこれも淡々としていながらもなんか微笑ましいってゆー。3つすべて同じ時間軸ということで、それぞれが行き着くことになる安ホテル、ラジオから流れてくるDJの声(あとで調べてトム・ウェイツだったことを知る)とエルヴィスの「Blue Moon」、朝方の銃声、更には人物の関係性などちょっとした繋がりが要所要所で見えてその都度またニヤリとしてしまう。そんでエピソード毎に系統というかジャンルというかがちょっぴり変わるあたりも楽しい。にしても会話とかそれぞれの仕草とか表情とか、見てるだけでもなんかおもしろいんだよなと。これぞ「味わい深い」ってやつかな。

で相変わらず、人物の成長だとか変化だとか、例えばどんでん返しみたいなものだとか明確なオチだとか、とくに何もなく終わる感じはやっぱりジム・ジャームッシュだなーと。いや、これは俺が何も理解できず見てしまってるだけなのかどうなのか。もしそうだとしても楽しめてるんだから今作は素晴らしいなと。たぶん疲れてる時に見ると寝ちゃうんだけど、ダラダラと、いやボーッと画面を眺めていたい、みたいな気分の時には最適すぎる一本。ジャームッシュ作品ってどれもそんな感じってゆー見解でいいんだよね?もちろんわるい意味では全くなく。
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