竜平

コーヒー&シガレッツの竜平のレビュー・感想・評価

コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)
3.8
喫茶店など様々な場所にて対面し「コーヒー」と「タバコ」と共に会話を繰り広げる人々の11のエピソードを順々に描く。ジム・ジャームッシュによる短編的オムニバス映画。

ジャームッシュ作品オールスターとも言えるようなキャストたちが他愛のない会話を味わい深い表情や仕草でもって魅せていく。魅せていくと言っても、本当になんでもないようなエピソードの数々。ふと出てくる話題がちょっぴりリンクしたりはするものの、それぞれに繋がりというのは全くなく、そもそも一つ一つにも明確なストーリーすらなかったりする、ってゆー。で、どれも「結局なんだったんだろう」で落ち着くというか。しかしこのずっと見てられる、もといずっと見ていたい感じはなんなんだろう、本当に不思議な魅力を放つ内容になってるんだよなと。会話の中にある「間」などから、人物のちょっとしたやましい心だったり抑えてるっぽい感情だったり、その見えない部分への想像を掻き立てられる感じ、本当に見事。個人的お気に入りエピソードとしては、ケイト・ブランシェットが一人二役をこなす「COUSINS(いとこ同士)」の回、あとアルフレッド・モリーナとスティーヴ・クーガンの「COUSINS?(いとこ同士?)」の回、これらは見てて思わず笑ってしまった。役名が実名と同じで、役柄もまんま俳優だったりする(これは本人役と言ってしまっていいのかはわからないけど)から尚更楽しい。あと印象的だったのはめちゃ美人の女性がただただウェイターとの交流を回避するだけの「RENEE(ルネ)」、これなんかはフツーに見惚れてしまった、女性に。

後で調べて知ったこととして、今作に入ってる短編たちは例えば一番最初の「STRANGE TO MEET YOU(変な出会い)」なんかは1986年撮影で、そこから数年おきとか、まとめていくつかとか、じつは同時期でなく異なる年代に撮影されてたんだとか。あと配役の妙というのがじつはあって、これは知っていればいるほどに楽しいところなんじゃないかな。例えば音楽繋がりでイギー・ポップとトム・ウェイツ、これはまぁジャームッシュ作品をちょいちょい見てきたから俺も知ってたけども、他にもヒップホップグループのラッパーやらロックバンドのデュオやら、ここらへんはさすがに俳優じゃないとは気づかなかった。あビル・マーレイはどこで何しててもやっぱりスター。
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