バランシーン

ヨーロッパのバランシーンのレビュー・感想・評価

ヨーロッパ(1991年製作の映画)
3.5
暗い映画です。
LVTっぽいカットはいくつかあって(遠近感を無視したり、モノクロで撮ってわざわざ後で着色した?みたいな)、よい変態っぷりも味わえるのですが、わかりやすいようで、わかりにくい、複雑な作品だなぁと。

これ、題名は「ヨーロッパ」で舞台は1945年10月のドイツ。かなり具体的なんだけど、ストーリーが進むうちに、舞台設定は暗喩に過ぎず、作品全体が何が正しく、何が間違っていて、誰が味方で、そして「アメリカ」とはヨーロッパ人にとって何か?というような、かなり観念的な問いかけになっている。
コレはおそらく生粋の日本人たる自分には、体感的な咀嚼が難しいところで、LVTってこんなある意味マトモな作品作れるんだなと変に感心しました。
表層的にはイレギュラーだけど、かなり単純なポリティカルサスペンス。でも掘っていくといくらでもドロドロしたものが出てくる感じ。
個人的に本作のポイントは、主人公のキャラ設定と感じていて、これが全く感情が読めない、行動原理もわからない、極力共感しづらい設定。それはヨーロッパとアメリカの両義性を持つという、本作では完全に「阻害」されるべき背景を持つ者(真の第三者など存在しない)故とも思えるので、この辺がすごく面白いなと思いました。

最後にナレーションが冷酷な神の宣告のようで、印象的。
ラストは「10数えたらあなたは死ぬ」
普通に怖いよ(苦笑)
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