このレビューはネタバレを含みます
チャップリンの詐欺師
2011年2月12日 11時19分レビュー
1914年、キーストン社提供、監督マックセネット。主演マリードレスラー。
「醜女の深情け、しこめのふかなさけ」 。
原題「ティリーズパンクチャードロマンス」。
日本語タイトル以下「ティリーの破滅物語」「百万長者」
本作チャップリン初期では、珍しい長編でチャップリン脇役作品。
監督マックセネットが、当時の映画界の大長編
グリフィス「国民の創生」に対抗した一大長編物語。
通例この頃のチャーリー作品は、「一巻物」という作品に多数出演。
フィルムの数を時間に見立てた指標だと思います。時間にすると一巻物二、三十分。本作は、全六巻ものの大作72分です。
本作チャーリーDVDシリーズでは、IVC発売の単品作品がありましたがなかなか、レア作品。
しかし、最近再発売されたチャップリンの初期DVDシリーズは、チャーリーのキーストン時代作品が大量ソフト化。
ファンには、嬉しい再発売です。
(音楽はいつもどおり、ルーチンエンドレスミュージックで残念ですが、仕方ありません。)
鑑賞すると出演のマリードレスラーさん。
一見まさしくおっきな女性に見えます。
が、第4回アカデミー主演女優賞を受賞している列記とした女優さん。
彼女のあたり舞台をチャーリーとメーベルノーマンドを交えたラブコメディに仕立てた作品の感じでした。
しかし、このマリーさんが、結構うつりますが、チャーリーに目がいっちゃうのが、ファン心理。
物語は、チャーリーは、詐欺師。しこめとされる、マリードレスラーを騙し、そこに詐欺仲間のメーベルノーマンドがやってくるお話。マリーさんよりメーベルとチャーリーに目がいった本作でした。
ドタバタも少なめな、わりとマジメなコメディちっく。マリーさんが、ちょっと鼻につきます。
チャーリーは、この頃本当に
「感情むき出し」なんですね。
表情が感情の赴くままに変わり、歯がよく見えます。
サイレント映画は、顔の表情が命。
中期は、チャーリーこんなに表情が乱暴になりません。
キートンの無表情よろしく、チャップリンも表情は、強弱がハッキリ表れ、演技も洗練されていくように思えます。
なんで本作見るとチャーリー、まだまだ血気盛んな若手やなーとつくづく感じますね。
まだこき使われて出演している感じにも見えます。
チャップリンファン必見の作品ですが、コメディとしてもイマイチかな?
字幕のキャプション画面が絵が入ったりして非常に凝ってました。
アメリカ映画の開祖な父、グリフィスから影響受けていますね。
チャップリンは、のちにこの役柄役割をそのまんま、
「偽牧師」に脚色してチャップリンリメイクしていますね。
やはりチャーリー本作に思い入れがあったんじゃないのかな?
詐欺師と詐欺師の仲間、金というアイデアを「偽牧師」で新しく作品化していたことが本作でわかりました。
チャーリーの脇的詐欺師必見の「しこめのふかなさけ」(言いにくいタイトルだなぁ)でございました。
追記
醜女で、容貌のみにくい女または、黄泉の国のごつい鬼だそうです、辞書より。