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ラスト サムライのよーだ育休準備中のレビュー・感想・評価

ラスト サムライ(2003年製作の映画)
3.0
欧米視点のジャポニズムエッセンスをふんだんに盛り込み、押し寄せる文明開化の波に抗う不平士族の生き様を描く。

明治維新の直後、近代国家の樹立を目指す日本は、軍隊の西洋化を促進すべく南北戦争の英雄Nathan(Tom Cruise)を軍事顧問として雇い入れる。士族反乱で捕虜となったNathanは、集落での生活を通して次第に心の安らぎを覚える。


◆ブシドー is ハカナイ!

そんな片言の日本語が聞こえてくるようだった。侍の首領・勝元(渡辺謙)は「死場所を探している」「まだ満足のいく桜を見る事ができていないのだ」と心中を吐露する。最後は「見事な桜だ」とNathanの腕の中で介錯する。(Nathanと勝元の汚名の雪ぎ方が異なっていた事も、日米の差異を表す様な面白い演出。)

パッと咲いてパッと散る。散り際まで人目を惹きつける。武士は桜とよく言ったものです。

室町時代から時が止まっているかの様な集落の清貧ぶりがまた強烈なアクセル。斜陽のシーンが印象的で、緩やかに時間が流れている様な演出がノスタルジック。


◆"日本感"を出そうとする意気込み!

真田広之、小雪をはじめ多くの日本人キャストを起用。日本語でのやり取りも随所に見られる。Tom Cruiseがカタコトの日本語で「アリガト。オカワリ。」「ニホンジン デワナイ。」等の台詞を披露する場面は可愛らしい。それ以上に印象的なのは、語り部も務めるTimothy Spallがニホンゴで衛兵を「ブレイモノ!」と捲し立てるシーン!拍手!

●横浜港から望むやたらデカい富士山
●明治時代とは思えないデザインの鎧兜
●突然の忍衆
●突然の野生の虎

などなど、欧米趣味の強い日本観が押し出されてはいるものの、そこはこれMade in USA.

時代の転換期に淘汰される侍の散り様を大金突っ込んでダイナミックに描いた今作は、日本人として観ると突っ込みどころは多いものの、エンタメ作品としては十分楽しめる。