見てない名作をやっと見る。
場面や音楽の流れがよく、テンポを崩さない。
テンポを崩さないからって終始楽しいかと言われるとそうでもなく、ただ、終わり方は素敵。
蒲田行進曲を脳裏に思い出しながら最後はスッとした。
妻とは全く違うタイプの愛人を作り、若い女に憧れを抱く夢みがちな映画監督。
子供のような夢を抱きながら、40代後半という大人にならねばならない葛藤がせめぎ合う。
若い女性に向ける目が気持ち悪く、せっかくハンサムなのに体力や処理能力が落ちてきているような、この40代後半の男はすぐすぐには円熟できない。病んでいる。
しかもそれを演じているのはマルチェロ・マストロヤンニ。
妻がアヌーク・エーメなんて最高。怒っている顔も美しい。
美しいクラウディアだって、役が貰えないのであればこの男に興味はないはず。
虚実で脳はオーバーヒート。
仕事もプライベートも現実と虚構もオンオフが無い状態になり、自分で自分を追い詰めてしまった男の末路だ。
寺山修司も思い出す。