Risa

テオレマ 4Kスキャン版のRisaのレビュー・感想・評価

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)
4.9
パゾリーニの映画がこんなに綺麗な映像になって観れるとは。本当に綺麗。
パゾリーニの映画って今まで見たものどれも、まぁ、画質が酷かった。それでも、内容が凄いのと、映像の雰囲気だけでも、どれも楽しめていたのだけれども、それがちゃんとした美しいものであったことが嬉しい。

美しい男にブルジョワ家族全員メロメロになって気がおかしくなってしまう。
何故か皆、その男に欲情してしまい、自ら誘ってしまうという、その流れも皆んな面白いのだが、問題は、男が去っていった後。家族は各々、男の消失により激動が走る。後半は各々のその後を描かれるのだが、普通ではない。
説明のつかない状況に陥ってしまう。
少なくとも、もうブルジョワではない精神状態。
この精神崩壊が意味するものとは一体。

身も心も奪われてしまうのは、女だけではなく、主人も息子も、家政婦のおばさんも。

その美しい男演じるテレンス・スタンプ、もっと魅力的に撮っててもらえると、もっと納得しやすいのにな、と思うところはあるものの、これがパゾリーニなのだろう。
紳士的ではなく、自由で天使的な男というイメージだろう。

娘役がアンヌ・ヴィアゼムスキー、ゴダールの元妻。
妻役はシルヴィーナ・マンガーノ。中年女性だけど、美しい〜。

イタリアのお屋敷の扉部分だけ、いくつか透明度の高いガラスと茶色の木枠になっていて、それが物語を美しく彩っている。
ブルジョワ家族達の夢のような未体験で曖昧な感情が、ガラスの扉をくぐって現実の体験、体感であることを実感するように引き立てる。

音楽はモリコーネ。
久しぶりにちゃんと楽しんで映画が見れた感じがします。
イタリア映画ってやっぱりいいな〜。

アマゾンプライムありがとう。
Risa

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