まいたけ

激動の昭和史 沖縄決戦のまいたけのレビュー・感想・評価

激動の昭和史 沖縄決戦(1971年製作の映画)
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毎年企画している戦争展のおかげで太平洋戦争のことは人並みに知っているつもりだったけど、沖縄の慰霊の日が毎年6月23日に行われているのを知ったのは、4年前、企画の中で知り合ったアーサービナードさんが毎年慰霊の日に沖縄に行っていると聞いたのがきっかけだった。
気にしてみると、ニュースでもやっているしSNSでも話されているしどうして今まで頭に入ってなかったのかと不思議だけどなんか自分の中でも、「本土以外の出来事」というバイアスがかかっているのかもしれない。

映画の存在を知ったのは、庵野秀明監督が何度も何度も観ている、とQJかなにかのインタビューでみかけて、たしかその本にはエヴァの演出の原点がこの映画にはある、みたいなことが書かれていた気がする。読んだのは多分10年以上前なので、不純な動機ながらようやく観ることができた。

多分、庵野監督が参考になったという部分は、テンポの良さだと思うんだけど、テンポが良すぎて最初はちょっとついていけない。
庵野作品上の場面転換時に、マティスEBで日時や場所、人名などが入るやつ、めちゃくちゃセンスいい演出だなと思っていたけど、アレがテンポの良さを補完してくれているのだなあ。

本島に米軍が上陸してくるあたりから、登場人物やテンポにもなれてくるけれど、今度はひたすら凄惨なシーン、参謀本部の無能、無策ぶりが際立ってきて、映画に没頭してしまう。最初は負傷者の足を切り落とすのを見て卒倒していた女性も、しばらくすると「この大根重たいわー」と言いながら平気な顔でガマの外に捨てに行っちゃう、て描写で、人間のなれってスゴイなーと思う…

それでもやっぱり後半はしんどい。映画観てるだけでしんどいのに、実体験だと幾ばくか、と。テンポが良いのでどんどん進んでいくんだけど。
それもあって、おばあさんの長回しのシーンは印象に残る。ほんとにあんなことあったのかは知らないけど、近いことはもしかしたらあったのかもしれない。 戦争て異常だもんね。想像を超えることが起こっても不思議ではない。

南方戦線や、特攻・人間魚雷と同じように参謀本部からは見捨てられ、こんなことがあった30年後までは国すら変わっていて、未だに全国の米軍基地のほとんどは沖縄にあるんだから、そりゃ本土の人らと温度差あるだろう。

科学の発展に寄与してるとか、本能だとか、いろいろ言う人もいますけどね、やっぱり戦争は人間のもっとも愚かな行為だと思いますね。本能なら尚更押さえつけて、弱腰外交だとかなんとか言われても、二度としないようにしないとね
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