「二つの世界の男」
ベルリンに駐留する兄の元へロンドンからやって来たスザンヌ。ドイツ人の義姉ベッティーナにベルリンを案内されながら、東西ベルリン間で亡命が頻繁になされている事実を知る。彼女の案内で東ベルリンを訪れたスザンヌは、そこでイーヴォという男と出会う。イーヴォの危険な香りに惹かれていくスザンヌだが、彼には秘密があった。1953年、英。
初見。ジャケ借りしましたが、モノクロの陰影をセンスよく描くキャロル・リードの作品です。
さて「第三の男」から4年後の作品ですが、なるほど、これを観ると「第三の男」のほうが東西冷戦下のベルリンを舞台にした映画としてぬるいかなと感じます。
これはよかった。確かに深い!「第三の男」では婉曲的にしか描写されていなかったことが、直接ガッツリ描かれているような感じでした。
前半のベッティーナに疑念を抱かせる見せ方もいい。相変わらずの斜めカットにゾクゾク。
ちょこちょこやってくる「わ!危ない!」っていうクダリもよかったです、オペラのシーンとかね。
ただ、後半の恋愛ドラマはいかがなものか…
ラストのオチは文句言わないけど、アパートあたりでふたりの世界に入ってしまってからはハラハラ感ゼロだったのがちょっと残念でした。
セリフやカットのセンス、耳に残る音楽、映像の美しさ、キャラクターのカリスマ性がやっぱり好きなのでわたしは「第三の男」派かな。主人公の女の子もスザンヌよりアンナのほうが好き。
でも観てよかった作品でした!面白かった。