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ザ・フライのYAEPINのレビュー・感想・評価

ザ・フライ(1986年製作の映画)
4.2
この映画をきっかけに、ジェフ・ゴールドブラムとジーナ・デイヴィスが結婚に至ったなんて信じられない。
2人で過ごしてても、世にも恐ろしいハエ男の姿が頭を過ぎってしまいそうだ。

皮膚が裏返ったヒヒから始まり、ジェフ・ゴールドブラムのビジュアルまで本当に気持ち悪くて感服した。
全力投球のボディー・ホラー作品だ。
彼が登場する度にどんどん変異が進行し、皮膚がグチャグチャになっていくのも、観客を慣れさせないための工夫に感じた。
目の前で白いドロドロを吐いたり、頭の皮膚が丸ごと剥がれ落ちたり、こちらの想定を優に上回るおぞましさだった。

その姿は虫っぽいかと言われるとそうでもなく、皮膚がズルムケのエイリアンといった見た目だ。
正直造形においてもストーリーにおいても、『ハエ男』と聞いて初めに思い浮かぶ内容ではない。
主人公は虫の研究者ですらないし、いつどうやってハエ男になるのか予想がつかなかった。

確かに本作は純愛ラブストーリーなのだろうが、この手の映画では珍しく、恋敵に真底同情してしまった。
ネチネチセクハラ男ではあるが、決定的な悪事は働いていないし、むしろ甲斐甲斐しくジーナ・デイヴィスの病院に付き添い、彼女を守ろうと身体を張っていた。
それなのにあの身体破壊っぷりは本当に酷い。事態が終息しても、後遺症が大きすぎる。
登場人物がみなクローネンバーグの実験台にさせられていて可哀想だった。
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