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デューン 砂の惑星PART2のYAEPINのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.6
私はIMAXで上映が始まる前のプロモーションムービーが大好きなのだが、そこで紹介される「針の落ちる小さな音も、ジェットエンジンの大轟音も」という表現は、この映画にまさにぴったりだと思った。
砂粒がキラキラ舞う音から、文字通り揺れるほどのプロペラ音まで、音響の幅が楽しめる映画だった。

パート1に続き圧巻の絵作りで、大胆に余白を残してこその美しさに見とれてしまう。
引き算の美学とも言うべき画面の静謐さは、この神秘的な物語に呼応する。

とはいえ案外ストーリーとしては分かりやすく、パート2は砂漠の民フレメンとの共闘がメインなので、ほとんど『アラビアのロレンス』的である。
この分かりやすさも映像の構成と音楽の差し込み方によるところが大きいと思う。
空中浮遊するハルコンネンの兵士たち、砂歩き、サンドワームなど、『デューン』の世界観独特のシーンを大写しにし、ハンス・ジマーが音楽で景気よく盛り上げてくれるので、観客が着目すべきポイントが明確になっていた。

これだけ複雑で無限に広がる世界、いや宇宙観を、シンプルかつ大きなスケールで提示してみせるドゥニ・ヴィルヌーヴの手腕は凄まじい。

一方、戦争シーンは拍子抜けするほどの正面突破、しかも味方の被害も最小限にあっさりと決着するので、あまり戦略をこねくり回すことには興味が無いようにも思えた(監督が、なのか原作者かは分からないが)。
そして、オースティン・バトラーくんは凶暴なソシオパスで見応え抜群だったのだが、スティングのフェイド・ラウサの方が手の付けられないイカれっぷりで怖かった気がする。
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