ShinMakita

人斬りのShinMakitaのレビュー・感想・評価

人斬り(1969年製作の映画)
2.9



…これで俺も、やっと自由になれる。





文久2年、土佐。食い詰めた浪人・岡田以蔵は、尊敬する「先生」こと武市半平太に呼び出された。武市率いる勤王党と対立する吉田東洋を始末する場を見学しろというのだ。剣の腕が確かながらまだ殺人の経験がない以蔵は、そこで殺しのリアルを学び、暗殺者としての人生をスタートさせる。

やがて土佐勤王党が京に上り、以蔵も武市に伴って京都の町を闊歩するようになる。薩摩の剣豪・田中新兵衛と並ぶ「人斬り以蔵」の異名をとるようになった以蔵。何も考えず、ただ武市の言うがままバンバンと人を殺しまくる以蔵を、昔馴染みの坂本龍馬は足を洗えと諭してくれる。いずれは武市に裏切られ始末されるぞと言う坂本にムッとする以蔵だったが、次第に自分の立場に疑問を抱くように…



「人斬り」



8月に待望のBlu-rayが出る五社英雄の傑作時代劇。買うか買うまいか悩んでたら配信で見つけて視聴。




岡田以蔵といえばクールな暗殺者のイメージでしたが、勝新が演じている以上、もうクールのかけらもなく、人間くさくて可愛いくて楽しい以蔵になってます。武市の呪縛、龍馬との友情というヒューマンな部分が多くて見応えがありました。前半の、狭い路地で越後の本間精一郎
を斬るシーンのダイナミズムや全編に渡る汗演出など五社英雄の美学が光ってました。武市半平太役・仲代達矢のサイコパス演技、田中新兵衛役・三島由紀夫の殺気にもヤラレましたね。弟分・山本圭も良かったなぁ。青春映画やノワール映画としての側面もあり、俺たちの大好きな勝新らしい勝新が見られる作品でもあります。……必見!
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