nt708

見知らぬ乗客のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

見知らぬ乗客(1951年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

娯楽映画としては十分面白いのだが、どこか物足りなさを感じるのは私だけだろうか。犯人であるトニーがなぜあのような人間になったのか、、両親との関係を紐解けば、少しは想像もつくのだが、それでも説明不足であるように感じる。もちろんどのような理由があっても殺人は許されるものではないが、その理由が明示されずに彼を単なる悪人と位置付けるのは少々アンフェアではないだろうか(もしか、殺人に理由などないのかもしれないが)。

とはいえヒッチコックの緊張感の作り方は天才的である。真似をしようと思ってもなかなか真似できるものではない。音楽による煽り、照明による陰影、カットバックの繰り返し、、時間が限られる中で同時に起きている出来事が映し出されることで、時間内に彼らの目的を達成できるのか、その結果として何がもたらされるのかを気にせずにはいられない。

物語の内容はともかく、映画として面白いことに何ら疑いはないだろう。
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