三四子

パッセンジャーズの三四子のレビュー・感想・評価

パッセンジャーズ(2008年製作の映画)
3.8
演出がうまい。かなり唸ってしまった。あと死生観が斬新で好きだなと思った。


最後まで見て理由を知ると納得できるんだけど、エリックがちょっと真面目にキモかったのがネックだった…。
心に傷を負ったからカウンセリングに来て欲しいと言っといてしつこく口説いてきて、女1人で訪ねる身としては怖い以外なくない?
映画の都合上そのまま進むけど担当外してください、って言うでしょこれは。
あとカウンセリングに集まったひとたちもちょいちょい性格悪いしね。
サスペンススリラーってそういうものだけど出てくる人間の性格が良くないから見ていて少し負担になる。
厚かましい隣人のおばさんもキモいし怖い…。
こういうひとがどうして、っていうのが解明されるまでの違和感を楽しむタイプの映画だから仕方ないけど見てる間はやっぱりウォーッ!ストレス!


好きなシーンはクレアとエリックが夜の海にドボンするところ。
美しい光景だな…と思った。心からクレアがエリックに惹かれたことがわかるし、綺麗だった。
そういう心情の描写とかもうまい映画だと思う。


でも一番泣いたのはクレアが隣人のおばさんが自分の叔母だって気付いたシーンかも。
昔すごい好きだった親戚のことにパッと気付いてどうして思い出せなかったんだろう…!ってなるのが凄い好き。
死に自覚がなくて記憶も混濁しているクレアを見守ってくれるおばさんと先生すごい優しくて温かい…。

次に姿を消すことになるのは自分かもという怖さやたくさんの謎が渦巻いてるところからその持って生き方はうまいな!と素直に思った。
単に死んでたのはお前✋って言うんじゃなく、死を受け入れられるように時間を作ってあなたを見守っていました、って凄くない?めっちゃ泣ける。


ふつ〜に物凄く面白くて、見終わった後の充足感が良かった。
こうだったらよかったのに、という空想を思いつつも死を受け入れる終わり方も綺麗で好きだな。切ないけどハッピー、みたいな感じ。
三四子

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