第2次世界大戦時の日本と中国の関係は、いまさら日中戦争の例を出して説明する必要もない。
そんな最悪の関係を映画の中に取り込む。
下手すりゃ日中の関係にひびが入りかねない際どい題材を、チアン・ウェン監督は実に巧く作り上げた。
中国の村に一人だけ日本人が捕らえられたという状況。
お互いの利害を考えても殺すには値しないが、日本人は死してなんぼの時代。捕虜など末代までの恥。
言語が通じず通訳を通しての会話で笑いを提供するも、時折瞬時に入る暴力を肯定させる。
このギャップが嫌味なく入り込んでくる構成には唸ってしまう。
捕まる日本人に香川照之というのも抜群のキャスティングだ。
モノクロからカラーへの意外な転換。作品自体のパワーをまざまざと感じてしまった。