♪ 切れないナイフ胸に当て流す涙
失った遠い過去へ送るレクイエム?
あぁ…彷徨う俺の魂 何処へ翔んでゆく
『仁義なき戦い』第二弾。
“殺伐”を超えた“殺伐”とした筆致は、まさにキングオブ劇物。容易に触れるのは止めたほうが良い作品ですね。影響力がハンパじゃありません。
特に本作の場合、見どころは“情念”。
前作は群像劇という側面があったので、物語的にも乾燥していたんですが、本作は北大路欣也さんと梶芽衣子さんの色恋が横軸にあるため、えげつなさに立体感があるんです。
やっぱり、男と女がいればくっつくのが道理。
「この外道が」と言われまくるヤクザの世界でも惚れた腫れたは当たり前。というか、梶芽衣子さんの美貌を眼前にすればヘロヘロになるのも当たり前ですね。
また、千葉真一さんもスゴいんです。
「悪の権化」と呼ぶに相応しい“欲望に忠実なやくざ”は、社会のモラルとかマナーとかを大切にする僕からすると、飲み込みたくても飲み込めない悪食。本当に強烈でした。
あと、演出も前作より昇華した印象。
クライマックスの夜の場面なんて、まさに闇の中に蠢く“恐怖”をフィルムに貼り付けたみたいで、小手先のリアリティなんて吹き飛ぶくらいの重量感がありました。
まあ、そんなわけで。
映画は続編を重ねるごとに失速するのが当たり前…なんて常識を軽々しく覆した傑作。言葉を重ねるだけ無駄なような気がしますね。ボディブローのような衝撃が身体から抜けません。
何しろ、ちゃちな演出(鮮烈すぎる血糊の色とか、バネの音が強調された銃撃音とか)に目が覚めても、そのあとでグイっと惹き込まれてしまうのですから…やはり、容易に触れたらダメです。劇薬、間違いなしです。
最後に余談として。
「○○じゃないの」というのも広島弁だったんですね。ちょっと可愛らしい言い回しだと思いました。でも《大友勝利》のような“悪”が使うと、その強烈さが中和されちゃうんで逆に怖いんですが…。