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科学忍者隊ガッチャマンの84gのレビュー・感想・評価

科学忍者隊ガッチャマン(1978年製作の映画)
3.6
 タイトルしか知らない「昔の名作」として大して期待せずに見たが、なかなかどうして面白い。

 先に悪いところを書くけど、ところどころ「二次元で三次元動画を表現する方法」が分かっていない。
 立体感がないギャグみたいなアクションが出てくる。くるくる回転した主人公が並んだ悪の組織隊員をボーリングみたいに吹っ飛ばしたり。
 ホバリング戦闘機でもないのに真横に戦闘機がスライドしてみたり。

 ただ、それは手抜きの産物ではなく、当時のアニメスタッフが試行錯誤をして迫力ある映像を模索していた結果。
 アニメという、現在は芸術として昇華した文化が暗中模索していく過程の物語。
 進化の過程を感じとることができる。個人的にはそこも評価したい。

 シナリオは死んだと思っていた父親が実は、とか、捨て身で戦う傷だらけの……みたいな教科書のような自己犠牲ヒロイック物語。
 だが、マンネリというのは正解だからマンネリになるわけで、そのマンネリズムの原初の姿であるように思う。
 子供の時間を潰してキャラがプリントされた文房具や食器を買わせるだけのチープな時間潰し、以上の認識でしかなかったアニメで、“ドラマ”を成立させている。
 表現が確かに追いついていないが、(当時の)現代科学を持つ忍者が悪を捜索するというテーマはエンタメとして今も通じる要素である。
 良作。
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