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バベルの708のネタバレレビュー・内容・結末

バベル(2006年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

モロッコ、メキシコ、アメリカ、日本というバラバラな地のまったく関係ないはずの人たちが、一丁のライフルの意図しない暴発によって連鎖的に繋がっていく群像劇。すべての立場の人たちの共通点は、言葉も心も通じない境遇ということ。主に言語の違いですが、日本編では菊地凛子演じる女子高生の智恵子が聴覚障害者ということで、言葉も心も通じにくいという境遇です。

困った状況で言葉も心も通じないって本当に辛い。皮肉にもそんな境遇が次から次へと連鎖していって、観ていてかなり辛く感じました。誤解と価値観のすれ違いの連鎖。どこかで生じた誰かの歪みが、その知り合いにも響いて次の歪みとなって、そのまた知り合いの歪みにもなって…みたいな感じ。

ここでの菊地凛子の演技の凄さを、すんなり受け取れる日本人って多いのかな。どこか痛々しい役柄の上に彼女の演技がまぁ凄すぎて、役柄が痛々しすぎて、僕は真っ直ぐ見るのを躊躇したくなるくらいでした。メキシコ移民のベビーシッター役アドリアナ・バラッザの演技もリアルで凄かったです。

日本パートでアース・ウィンド&ファイアー「セプテンバー」の大沢伸一ミックスがかかるシーンがとてもかっこいい。光の点滅が激しくて、具合が悪くなる人もいるかもしれませんが、智恵子が孤独な自分の世界に入っていく感じが好きでした。
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