竜平

JUNO/ジュノの竜平のレビュー・感想・評価

JUNO/ジュノ(2007年製作の映画)
4.0
妊娠が発覚する16歳の女の子「ジュノ」、そこから起きていく問題を微笑ましく、時にリアルに描く。コメディ的ヒューマンドラマ。

監督が『マイレージ、マイライフ』『ゴーストバスターズ /アフターライフ』などのジェイソン・ライトマン、アイヴァン・ライトマンの息子ね。彼ってコメディ要素と若干のシリアス要素を上手い割合でブレンドするのが得意なイメージ、で今作もまさにそんな感じ。突如として非日常へと足を踏み入れることになる主人公をエレン(現エリオット)・ペイジが等身大に演じる。思わぬ事態に困惑、あたふた、かと思いきやそこまででもなく意外と飄々としてるというか楽観的というか。このなんとも軽い様子は十代特有と言うべきなのかな、それをユーモアを交えつつ映し出していく。本当はなかなかシビアな話のはずなんだけども、あまり小難しいことを考えようとしない若者の様子と「事の重大さ」との対比というのを上手く見せていく感じがおもしろい。ジュノは言ってしまえばまだまだ世間知らずで、親や大人になるにつれて出てくるであろう事情もよく理解できてないし、男女間の微妙な問題というのにも鈍感。やがて主人公の個人的なもののみならず、多方面から様々な「ズレ」が生じてくる。J・K・シモンズやアリソン・ジャネイ、ジェイソン・ベイトマンやジェニファー・ガーナーなど「大人勢」のキャストがここらへんを彩りまくる。ジュノの行き着く先、事の収束をきっと見届けたくなるはず。

子供や家庭を持つこと、更に夫婦及び男女のこと、そして人生など、ヒューマンドラマとして旨味が多くてまんまと見入ってしまったというところ。ティーンエイジャーの成長の姿にもやっぱりグッとくる。全編に流れる素朴系の楽曲たちも良き。上映時間も短めでサラッとほっこり体験。十代の頃の、無知でありつつもどこか純粋な気持ちというのを思い出しては今でも取り戻したくなる俺でしたとさ。無理なんだけどね。おしまい。
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