まーしー

レイクサイド マーダーケースのまーしーのレビュー・感想・評価

3.0
東野圭吾の小説『レイクサイド』の映画化。
中学受験を控えた3組の一家と塾講師による勉強合宿中に、殺人事件が起きる——。
殺されたのは、並木(役所広司)の不倫相手。犯人は一体誰なのか——。

子どもの合格のためなら、なりふり構わない家族たち。
登場する子どもたちは、模範となる振る舞いを披露する。しかし、どこか普通ではない。「抑圧された」「洗脳された」といった表現が相応しいように思う。
こうした子育てに疑問を呈そうものなら、他の親たちから非難の嵐。社会の勝者になるためには、志望校への合格は必須だと主張される。
——少し歪んだように思える、子どもへの愛情。
そういった愛情を生み出す受験戦争への、皮肉的メッセージが込められた内容だった。

ミステリーとしては至って普通。2時間ドラマの延長戦といったところ。
犯人が用意周到なのか不用心なのか、アンバランスな点も気になる。
しかし、役所広司、薬師丸ひろ子、柄本明などが繰り広げる会話劇は見応えがある。
我が子を思うあまり、近視眼的になる親を見事に演じていたように思った。

余談ながら、殺された女性(眞野裕子)が綺麗で印象的。
不謹慎ながらも、ここまで美しい死体は『ジェーン・ドゥの解剖』と双璧をなすほど。
主演級の存在感だった。