竜平

タイタンズを忘れないの竜平のレビュー・感想・評価

タイタンズを忘れない(2000年製作の映画)
4.0
1970年代、ヴァージニア州にある、統合により白人と黒人が共に学ぶことになる高校、そのフットボールチームに新たに黒人コーチが就任してくる、というところから始まる話。実話を基に描くスポーツ的ヒューマンドラマ。

人種の違う二人のコーチを演じるのが我らがデンゼル・ワシントンと『アルマゲドン』などのウィル・パットン。白人黒人の隔たりがまだ強い時代、で高校の統合により一緒にはなるもののあからさまに歪み合う学生たち。実際どうだったかは置いといて、とりあえず今作ではそこまで殺伐とは描かずユーモアを交えてる印象で、いい意味で見やすい。そこからスポーツ、フットボールを通して徐々に心を通わせていく。そうだよねースポーツってそうだよねーなんて。今作に於いてはフットボールのルールを知らずともなんか熱くなれる、ってのは俺だけじゃないはず。試合以外のシーンで再び見えてくる差別や偏見、日常に戻って若者たちが引き剥がされていく様にはなんとも歯痒い想い。ここらへんは当時のリアルなものが映し出されてるんじゃないかなと。とくに理由もなく抱いてしまう嫌悪感、同調圧力とも言える周りの目、こういったものは日常の中でもたまにあるよなと、考えさせられたりして。

コーチにはキャリアを懸けた闘いや、単純にプライドというのもある。学生たちにはまだ未熟さや、若さ故の情熱というのもある。実話ということもあり、想いがぶつかり合う様、エピソードの得も言われぬ力強さに見入ってしまう。細かいことを言えばもちろん才能なんかもあるんだろうけど、彼らだからこそ持てたチームとしての「芯の強さ」というのがあったんだなと。デンゼル扮するコーチが南北戦争の話を引き合いに出して訴えかけるシーンなんかはとくに胸に来るものがある。歴史というデカい括りと、今尚自分たちが持ってしまう偏見の目、日常でのそれとの掛かり方が良き。

映画的なことで言えば、それぞれの抱えるものが明白に見えて人物みんなが際立ってる印象。こんだけ人物がいて変な散らかり方をしないから見事だなと。ふとしたシーンが後で効いてくる感じもベタとは言わずに良きと言いたい。あとはシンプルに人種を越えた友情や成功、この題材というのが素晴らしい。今の時代、いやこれから先いつの時代にもこういった内容は響いてくれるはず。響くべき。で最後には爽やかな感動に包まれる、そんな一本。あ、じつはちょい役で出てるライアン・ゴズリングね。
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