きゅうげん

ノスフェラトゥのきゅうげんのレビュー・感想・評価

ノスフェラトゥ(1978年製作の映画)
4.0
みんなだいすきヘルツォーク&キンスキー組が主演にブルーノ・ガンツを迎え、バンパイア映画の金字塔『吸血鬼ノスフェラトゥ』をリメイク。

表現主義時代の傑作である旧作の画的なクールさを受け継ぎつつ、70年代らしい旅行趣味的なロケ撮影の強みも散見されます。それに後半で対峙することとなる二人、ギョッとするようなクラウス・キンスキーの醜さと、ハッとするようなイザベル・アジャーニの美しさたるや。

またラストのショッキングな改変や『吸血鬼ドラキュラ』らしい日誌や日記へのフォーカスなど、バンパイアものとしても細かいツボをおさえたクオリティです。
そして“吸血鬼”という存在に仮託された伝染病恐怖のモチーフは、旧作以上にセンセーショナルなものに。ペストの蔓延で市民生活が崩壊するのはもちろん、ネズミまみれの広場で最後の晩餐という狂気的な終末感は、流石ヘルツォークらしさ全開です。