やんげき

荒野の決闘のやんげきのレビュー・感想・評価

荒野の決闘(1946年製作の映画)
4.6
原題「いとしのクレメンタイン」こと、クレメンタイン・カーター役のキャシー・ダウンズの令嬢感にやられた。気品に満ちた佇まいと埃に塗れた粗野な西武街とのギャップが絶妙。そしてヘンリー・フォンダが、惹きつけられつつもとても真摯でウブな振る舞いなのがたまらない。
二人で並んで教会に向かうシーンはおそらく西部劇一の上品さと初々しさを感じる一幕。
そして、そこからの名言「俺はクレメンタインという名前が好きだ」という一言。普通に告白するより、突如見つめあって口づけをするより、何も言わないよりも素敵じゃないですか。これぞ映画だ。

『OK牧場の決闘』をモチーフにした話なので、西部劇バキューンバキューン映画と思うかもしれませんが、ジョン・フォードの西部劇は「駅馬車」もそうですが、あくまで人間ドラマなんです。

こういう不器用な男のロマン像は、旧作に期待するしかないのだ。シェーンといい、どうして西武に生きる男はこうも幸せに対して謙虚なのかね。けどそれが良いんだよなあ。
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