円柱野郎

蝉しぐれの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

蝉しぐれ(2005年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

藤沢周平原作、同名小説の劇場版。
青年下級武士の、幼なじみへの一途な想いと、藩のお家争いに翻弄される姿を描く。

俺は恋愛モノは見ない人だけれども、この映画のような話は好き。
“愛だ”“恋だ”というモノじゃなくて、“想い”や義を貫き通す男の話。
原作やTVドラマ版は観ていないけれど、作品の魅力は伝わってきた。

けれどあえて苦言を呈せば、一本の映画と言うよりはTVドラマの総集編といった感じがしなくもない。
なんと言うか、ゆったりした映画なのに行間すべてを読めないというか、端折られてる感があるというか…。
市川染五郎演じる主人公・文四郎を中心に描かれすぎて、脇の人物達の人生が見えない気がする。
そのせいか、もう一つ入り込めなかったんだよなあ。

TVドラマっぽいといえば、舞台が山形なのに全員標準語だとか、花火が考証を無視してカラフルだとか、殺陣が…etc。
明らかに道化になっている与之助役の今田耕司が、ちょっぴり浮いているのも気になったかも。
そんなものは監督の意向だからといえばそれまでだけど。

まあ、それはそれで置いておけば「美しい日本の私」と思わず感じてしまう映画だった。
四季の美しさ。
主人公の生き方。
長く割かれた子供時代のエピソードのおかげで、より主人公に共感も出来たんだと思う。
円柱野郎

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