こたつむり

ハリー・ポッターと炎のゴブレットのこたつむりのレビュー・感想・評価

3.6
甘酸っぱい学生生活と、漆黒の闇に蠢く悪の狭間で。純真だった少年はいつしか成長を遂げる―。佳境に差し掛かる魔法物語も今回は青春ど真ん中!皆様ご存知の大ヒットシリーズ第4弾!

…という作品でしたが。
監督交代が功を奏し、娯楽作品としては真っ当な作りとなりましたね。情報量が多いから一回鑑賞しただけで全てを把握するのは難しいのですが、物語の幹と枝をしっかりと区別して描いているから、さほど混乱することはなく。この世界観を楽しむことが出来ました。

また、演出的にも。
ややマンガチックと思われる向きはあろうとも。本作を鑑賞する層を鑑みるに、間違っていない選択だと思います。戦隊ヒーローを子供騙しと揶揄するのが的外れなように。本作は大仰な方が似合っています。特に序盤から手に汗握る展開が続く割には、その勢いを最後まで持続させた手腕は流石であります。

それもこれも。
観客の想定する一歩先を考えて、物語を再構築したのが功を奏したのでしょう。

物語を解体し、再配置するというのは。
言葉で語れるほど容易いものではないと思います。また、その再構築した物語を進行するには役者さんたちが雰囲気を壊さないのも重要。特に、本作の場合、表情で語っている場面が前作よりも増えましたからね。観客側が色々と想像して楽しむ隙間も増えました。

ただ、あえて難を言えば。
原作に問題があるのか、それともアレンジした脚本に問題があるのかは判別できませんが、首を捻りたくなる設定は瑕疵でありましょう。対抗試合での曖昧な勝敗判定。対抗試合における“魔法”の意義。対抗試合における“命”の価値。って対抗試合ばかりが目に付きますが…これらは、やっぱり野暮な突っ込みなのでしょうかね。

まあ、そんなわけで。
多少の難はありますが、膨大な量の文章を映画化した苦労は大変だったことでしょう。また、個人的な嗜好でありますが、根底に暗い雰囲気が流れているのも良かったですね。鑑賞後に知りましたが、本作の監督さんはイギリス人の方だとか。やっぱり、本場のファンタジーを知っているからこそ、生まれた世界観なのだと思います。

とは言え、残念なことに次の作品でも監督交代です。出来得ることならば、本作の持つ暗い雰囲気は継承してもらいたいのですが…。

To be continued…→→→『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
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