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ニーチェの馬のkyokoのレビュー・感想・評価

ニーチェの馬(2011年製作の映画)
4.8
息が詰まるほどの沈黙が支配する部屋の外では、風の音が恐ろしいほどにごうごうと鳴り響く。
繰り返されてきた父娘の日常が徐々に狂いだしてもなお、父は気づこうとはしない。あるいは気づきたくないのか。

たぶん娘は知っている。
最後の審判を人間は受け入れるしかないということを。始まったものが終わる、ただそれだけのことであるということを。

極限まで抑えたセリフ量と、主に父と娘と馬だけで、世界の終わりの6日間を30カットで描ききる。これはもう凄いとしか言いようがなく、己のボキャブラリーの貧困さではうまく表現できないのがもどかしい。
弦楽とオルガンの重厚な響きがいまだに頭の中に残っている気がする。


超余談なのだけど、私の嫌いな調理作業ベスト3に「蒸した芋の皮を熱々のうちに剥く」が入る。食事シーンはしんどかった笑
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