ひろぽん

英国王のスピーチのひろぽんのレビュー・感想・評価

英国王のスピーチ(2010年製作の映画)
3.7
子どもの頃から吃音症に悩まされていたイギリスの国王ジョージ6世が、言語療法士のライオネル・ローグの風変わりな治療により吃音症を克服し、第二次世界大戦が始まろうという時に、国民に王としての戦争スピーチをするという史実を基にした物語。

先日亡くなられてしまったエリザベス女王(エリザベス二世)のお父さんであるアルバート・フレデリック・アーサー・ジョージ・ウィンザー (通称バーティー)のお話。


王族は権威やお金があって生活に不自由のない生活をしてると思っていたが、庶民とはまた違う悩みや苦しみがあって同じ人間なのだと思った。

今作のテーマである人前で話さなくてはならない職業なのに“吃音症”だというのが観ていてとても辛い。向き合いたくもない現実とトコトン向き合い、文句を言いながらも吃音改善の為に惜しみのない努力を続けるバーティーの姿は応援したくなった。

バーティーの父であり先代の国王・ジョージ5世は亡くなり、王位の継承をした兄・エドワード8世は離婚歴のある女性との結婚のために王位を退き、やりたくもない王の座を引き受けなければならなくなったというバーティーの立場はしんどい。王族というだけで一般市民と同じように結婚したい相手と自由に結婚できないエドワード8世の気持ちも分かる気がするが。

吃音症は生まれつきの先天的なものかと思っていたが、生まれつき吃音症な人はおらず、後天的な精神的な心の問題が原因だという事実には驚いた。

ヒトラーの演説を観たバーティーが、“何を言ってるか分からんが、演説が上手だ。”という、言葉は通じなくとも演説の才能があったと分かる描写は凄い。

療法士のライオネルとバーティーの身分を超えたお互いを友と呼ぶ友情がとても良い。さらにスピーチの練習で“Fuck,fuck,fuck,fuck,fuck!“と何度も汚い言葉を混ぜながら連呼するシーンは最高だった。音楽にノリながら暴言を吐いたりする王族の人間らしい一面は親近感湧く!

資格は無くとも経験があるという自信に満ち溢れた俳優崩れのライオネルの言葉には、重みがありとても印象深かった。

バーティーの妻・エリザベス妃の吃音を愛してくれる人間性や、寄り添ってくれる優しさにはホッコリする。

第二次世界大戦開戦前のストーリーだから、暗く重苦しい雰囲気が漂う。それでもラストの国民に向けた努力の結晶のスピーチは響くものがあった。イギリスの歴史について知っていると楽しめる。だが、いかんせん派手な描写がないから退屈に感じるかもしれない。
コリン・ファースの吃音症の演技がとても上手で素晴らしかった👏ハリーポッター俳優が何人か出演してるのが個人的には熱かった😎
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