イルーナ

フォー・ルームスのイルーナのレビュー・感想・評価

フォー・ルームス(1995年製作の映画)
2.0
今年もとうとう大晦日。大晦日を舞台にした映画と言えば本作。
この作品は、サンダンス映画祭繋がりで出会ったタランティーノ、ロドリゲス、そして女流監督アリソン・アンダースと『イン・ザ・スープ』でグランプリを受賞したアレクサンダー・ロックウェルの4人によるオムニバス映画。
これだけ聞くと、「気鋭の映画作家たちによる豪華企画!」なんですが……

ぶっちゃけロドリゲスの話以外マジでつまらないので期待しないでください!


【第一話】
40年前に石化させられた女神ダイアナの復活を目論み魔女たちが儀式を始めるが、そのうち一人が必要な材料の精液を忘れてしまう。
すると丁度よくベルボーイのテッドが来たので魔法で操って搾精。
で、魔女たちの望み通りに女神ダイアナが復活。終わり。
……はぁぁぁぁ?!マジで何のひねりもない!いくら何でも精液だけで話を引っぱるのはあんまりでしょう。
魔女の中に一人普通の人間が紛れていたのも意味なかったし、この時点で先行きが怪しいことになってます。
冗談抜きで吹き替えがセーラー戦士5人という部分しか見所がない……

1.2点

【第二話】
パーティー中の客の指示ミスにより、夫婦の修羅場に足を踏み入れてしまったテッド。
夫はテッドのことを浮気相手だと思い込み銃を突きつける……
これも「猿轡を噛まされた状態で縛られる妻に、いきなり銃を突き付けてくる夫」という初見のインパクトだけで引っぱる作品。
ぶっちゃけ終盤で豊富な男性器のボキャブラリーを披露する所くらいしか見所がない。

1.4点

【第三話】
ここからようやく有名監督が出てくるのでアクセルが上がってくるパート。
乱暴狼藉を働く子供たちに振り回される大人という王道の話ながらも、それがエスカレートしていく過程が丁寧だし、絵作りも上手い。
ベッドの中から出てくる腐乱死体!そして、親が帰って来て炎上する部屋の中で固まる一行!という具合にバシッと決まってる。
正直全体的にアレな出来の話ばかりの中で、これだけ突出した完成度。
ロドリゲス自身、バイオレンスだけでなくファミリー映画にも適性があることがこれで認知されて、『スパイキッズ』に繋がったのかも?
実際、『スパイキッズ2』でも明らかに本作を意識したシーンがありましたし、彼にとっても思い入れがあったんでしょうか?
しかし本作、やたら足が強調されるというか、子供に自身の足を舐めさせるシーンがあるのですが……
まさかそこだけタランティーノが監督した?

3.6点

【第四話】
大トリを飾るだけあって真打タランティーノ登場!と言った感じの話なのですが……
これ、最初観た時は終始「???」でした。蘊蓄話の元ネタが一つも分からなくてポカーン状態。
何かオタク特有の独りよがりな部分が思いっきり出てしまったという印象。
今ならロアルド・ダールの「南から来た男」のパロディだなって分かるのですが、最低限この話は押さえとかないとマジでキツいかと思われます。
評判観た限り、ロドリゲスのパートに並んで評価が高いようですが、ぶっちゃけ見所はオチ部分だけなんだよなぁ……

2点

と、ロドリゲスの話以外大惨事レベルのつまらなさなのですが、調べたら本作、かなり曰く付きの事故物件だったみたいです。
まず上映時間が2時間半ということでカットさせられたのですが、タランティーノはスター監督だから切れず、ロドリゲスは元から丁度いい長さだったので切れずで、他の監督にしわ寄せがいったとのこと。
道理で最初の二話の内容がスカスカだったわけだ……
また、主人公も本来スティーヴ・ブシェミが演じること前提で作られたキャラだったのに、肝心のブシェミがオファーを断ってしまったとのこと。
そのためティム・ロスが代役となってますが、不慣れなコメディ演技をやらされて観ていて痛々しかったという意見もよく見かけます。
おまけに監督同士の連携も取れず、どんな作品になるのかさっぱりわからないまま撮り続けたという見切り発車ぶり。
トドメに主役の吹き替えは田代まさし……せっかくの豪華声優陣がすべてパー(涙)
ここまでグダグダだと、企画に乗らなかったブシェミやリンクレイターは賢明だったと思います。

アニヲタwikiにまとめた記事
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/55397.html
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