めしいらず

アガサ・クリスティー/サファリ殺人事件のめしいらずのネタバレレビュー・内容・結末

1.5

このレビューはネタバレを含みます

アガサ・クリスティーを原作とする一連の「●●殺人事件」シリーズの一つであり、著者最大の人気作の「そして誰もいなくなった」の4度目の映画化作品である。逃げ場のないクローズドサークルに集められた10人の男女が、マザーグースの調べ通りに連続する見立て殺人によって一人ずつ殺されていき…。もはや説明不要の原作であるけれど、ミステリと言うよりはトリッキーな心理スリラーと言った方がより正確な気がする。この話の眼目は減って行くメンバーの中に犯人がいることで次第に増幅していく疑心暗鬼の緊迫感と、最後の一人が実は…な驚き。1945年版、1974年版のどちらも今ひとつ物足りない出来だったけれど、本作は正直言って最低な出来栄えだった。工夫のないダラダラした演出のせいでプロットの面白さが完全に死んでいる。だからサスペンスだって生まれようがない。舞台設定も魅力に欠ける。またどの版もそうなのだが、結末が変えてあるのも個人的には納得できない。最後にちゃんと誰もいなくなってこそ映えるプロットだと思う。ドナルド・プレザンスがデカンタからワインを振る舞うシーンがあるのは、実はミステリ好きへのファンサービスなのか知らんと要らぬ邪推をしてしまった。
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