KnightsofOdessa

北の果てのバラードのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

北の果てのバラード(1980年製作の映画)
3.0
[] 60点

1980年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。マルック・レヘムスカッリオ(Markku Lehmuskallio)初長編作品。彼は後に配偶者アナスタシア・ラプスイ(Anastasia Lapsui)と共同で製作するネネツ人やサーミ人を含めた世界中の先住民族に関するドキュメンタリーシリーズで知られている。本作品は季節ごとに異なる表情を見せるフィンランドのオウランカ国立公園とその周辺地域に焦点を当てている。特に最初の30分はひたすら動物と自然風景だけが映し出される。季節ごとに様々な色彩に彩られる自然と、そこで生きる鹿や鳥たちの生活が混ざり合い、それを美しいショットの中に収めている。続いて森に暮らす人々が登場する。狩人は鳥を罠に掛けて、自分たちが生活する分だけ狩っているだけなのだが、警察はそれを許さない。そして、森の外側では、道路工事のために森林伐採が進み始めている。伝統的な生活様式と現代社会は衝突していく。自然と生物、自然と人間を静かに見つめる本作品の中で、自然の描かれ方は不自然なほど不気味で無表情だ。昼間でも薄暗い森をおどろおどろしく撮ってはいるが、それでも無表情に感じるのはなぜなんだろうか。自然そのものが背景化してしまっているような気がする。
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