グラントリノとは主人公ウォルトコワルスキー(クリントイーストウッド)が所有する1970年代フォード車の事。大型なスポーツクーペですね。
主人公ウォルトコワルスキー(クリントイーストウッド)は妻に先立たれ、子供たちにも見放される程の偏屈オヤジ。
朝鮮戦争では勲章を受勲する程活躍した帰還兵で、その後はフォードで長年勤め隠居生活を送っていたのだが隣にアジア系の家族が越してきてから苛立ち始める。
しかし、その隣の家族との交流をキッカケにアジア人に対する偏見が無くなっていく。
それでも長い間心の奥にある深い闇は拭い切れてなかった…
亡き妻は敬虔なクリスチャンで夫の事を心配していた。彼女は生前、懇意している教会の神父に夫の事を頼んでいた。
それは懺悔をさせる事だった。
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イーストウッド監督作品らしくプロットがしっかり立てられ、観終えた後も考えさせられる見応えある作品であった。
登場するアジア人がモン族民をモデルにしているけど初めて知った。昔から国を追われている部族だった。ベトナム戦争の影響でアメリカへ移民してきた。
ただ如何にもハリウッドらしい、その描写はステレオタイプでしたね。
グラントリノが走る姿が良かった
以下ネタバレ
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余命僅かで、生前に心残りが無い様にと遂げようとする姿は黒澤明の「生きる」の主人公と重なる。妻に先立たれ家族(子供)とは上手くいってなく、また病気の事も伝えていないなど状況も似ている。
最後、ウォルトが行った行為は贖罪。
二つの懺悔ですね。
一つはタオに危害を加えたギャングに報復した事で更なる報復になり、隣人を傷つけてしまった事。
もう一つは先にも言った妻が懺悔をさせてあげたかった理由。朝鮮戦争で人を殺めてしまった心の傷を癒したかったのだと思う。
それがベストの考えなのかはわからないけど、
ウォルトコワルスキーが出した答えがそれだった。