Kamiyo

グラン・トリノのKamiyoのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
5.0
2009年”グラン・トリノ” 監督クリントイーストウッド
もう何回目かな、初めて映画館で鑑賞後、しばらくその場から動けませんでした。 この感動をどうやって言葉にできるだろう?

愛すべきクソジジイをもっと見ていたかったよ
この頑固ジジイときたら、今の若者の全てが気に入らない
あっちで文句をつけ、こっちで愚痴を言い、でも結局は
何も変わらないことに嫌気がさしては、ブ~ブ~唸っている。

もう一人の主人公は、ウォルト(クリントイーストウッド)の隣家に引っ越してきた、アジアの少数民族モン族の家族。その一家の少年タオを演じるビー・バンですが、冴えないモン族の少年を非常に上手く演じています。ウォルトに何かと鍛えられながら、徐々に自分に自信を付けて行きます。
そのタオの姉スーを演じるのは、アーニー・ハー。
彼女が、タオと自身を助けてくれたウォルトに何かと世話を焼く事でウォルトの心が徐々に開いて行くことが良くわかります。ああ言う強い姉さんがいると、弟はウォルトのように成りがちなような気がします

冒頭シーン、主人公の妻の葬式に孫が出席します。
私はその孫達の、色は黒いけどへそを出した服やおざなりな態度、
それを見て笑っている周りの人達
ラストでも葬式が出てきます。
アメリカ人とは対極に第一礼装をした少数派民族の人が出てきます。
そこに有る “敬意”の部分をクリント・イーストウッドは描きたかったんじゃないかなって思いました。
それは生きている事への敬意であり、死に行く人への敬意です。

本当にキャラクターの心情の動きが丁寧に描かれてますね。
だからこそ、この愛すべき頑固ジジイに引き込まれ共感していくんでしょうね(笑)
周りのタオ少年、スー、神父さんに男の会話(?)を繰り広げる床屋さん等いい味だしてます。
おおよその予想通りだったラストは、もちろん悲しくて、
泣けはしたものの、なんともいえない清涼感にも包まれた。

最後にちょっとだけね、グラン・トリノが走るんですよ。
去っていく後ろ姿は、オーナーじゃなくて違う若者が乗ってんの。
お前の新しい人生を元気に生きてけよ、
取っておきの宝物をお前にやるからさ、
って、このプレゼント。
命を犠牲にしても守りたいものがある。それを愛という。
なんて感じました。

きっとこれからも何度も見たくなる映画だと思う。

”72年型グラントリノ ファストバック、コブラエンジン搭載車”
当時のフォードが世に出した、スポーツタイプの名車である。
日本車では当時の”ケン&メリ-”スカイライン”でしょうね
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