そのじつ

女王蜂のそのじつのレビュー・感想・評価

女王蜂(1978年製作の映画)
3.4
子どもの頃テレビで見て震え上がった時計台の歯車シーン。血しぶき初鑑賞は金田一シリーズでした。
あやしいエロシーンでは身の置き所に困ったことも懐かしい。

いま見ると・・・岸裕子の着物の襟元くつろげすぎて、エロい。
仲代達也の茫洋とした瞳とソフトフォーカスのポートレートが美し・・女優以上に入念な。
「異常な愛情」「邪恋」とセンセーショナルな言葉を冠してはいるが、いかにもな情欲は九十九のシーンだけ。あくまで美しい。
沖雅也めっちゃイケメン。ワイルドさの中にも品があって、じつは華族の説得力ある。

原作未読なのでよく分からないのだが、犯人の遠大な計画性と衝動的に思える行動のあいだに乖離を感じた。
「犬神家」がそうだったが、映画化のさいには「情動」がクローズアップされ「道理」がうしろに引っ込む傾向がある。
また終戦直後の舞台設定だし、書かれたのも戦後まもなくなので、その「道理」も現代ではピンときにくいものである場合も多いかもしれない。

とはいえ犯人がもっとも隠したいことをほじくり出してくる金田一と犯人の対決シーンは見ものだし、えっ!と驚く展開もあって面白い。
岸裕子のクラッシックでありつつモダンなルックスはほんと見飽きない。「悪魔の手毬歌」でマドンナ(?)になったの非常に納得。

三木のり平、伴淳三郎、白石加代子、草笛光子、高峰三枝子ら層が厚くて非常に贅沢な気分。常田富士男が出るシーンがいつも楽しみ。
そのじつ

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