Yuma

クレイジー・ハートのYumaのレビュー・感想・評価

クレイジー・ハート(2009年製作の映画)
3.9
冒頭から悲劇のフラグが立ちまくってて嫌でも不穏な展開を予想をしてしまう作りなのだけれど、それに対して、個人的にこの着地点は好みのテイストです。
ストーリーラインもさることながら、注目したいのはそれぞれのキャラクターがもつ味わい深さ。会話から想像できるその人物の過去や人物同士の関係性がじんわり見えてくる。
最盛期をとっくに過ぎ、初老にさしかかった中年のアル中、且つだいぶめんどくさい性格のミュージシャンが主人公なのだけれど、周囲の仲間たちが彼を見捨てずに、ケツを押し続けるのは、彼の中に確かに光るもの、魅力を認めているからに他ならない。実際、先にかいたような、冒頭から予想できるような最悪の悲劇から別の世界線に着地したのは、実際このバッドという男、芯に確かな強さがあったからですよね。
そう言う意味では、あの掃除のシーンは特にグッとくる。

相手の内面の魅力よりも、表面的な性格で、その相手との関係性を作ってしまいがちの昨今です。表面的な印象に左右されず、その人の隠れた魅力に注目することの大事さを再確認しました。

あと、さすが音楽映画だけあって、音楽、最高です。
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